コラム

見出し トリックを忍ばせる
更新時間 2005/03/11 名前 よねやん
本文  報道カメラマンと言われる人は、

「失敗して他社に負けたくない」

という気持ちが常にある。
現場へ行っても、他社の動向が常に気になる。他社がどの場所から、何ミリのレンズで、何を狙っていたか?他社が何人取材に来ているか?とにかく、他社が良い写真を撮っていないか気になるのである。
逆に他社を利用することもある。たとえば、ルールも何も知らないスポーツの取材を急に言われたとする。当然、どの場所からどのように撮るか全く分からない。その時は、ベテランの他社カメラマンをマークするのである。ルールを調べる暇があり、撮影の練習ができるなら、その必要も無い。しかし報道カメラマンの場合は日替わりで消費する作品ばかり撮るので時間に限りがある。不得手な分野も常に80点くらいの作品に仕上げなくてはならない。そこで他社のカメラマンをまねるという作戦も時にはありなのである。

 「写真でプロとアマの違いは何か?」

作品の質も当然だが、明らかな違いは

「プロは限られた時間の中で、合格点の作品を作る」

ということに尽きであろう。特に報道カメラマンの場合は、1分でも締め切りをすぎると、その仕事は何の意味も持たなくなる。雑誌でもスタジオカメラマンでも締め切りの無い仕事は基本的に無い。

 以前、月例会で菅洋志先生がこのようなことをいわれていた。

「自由部門は全体的にレベルが高いが、スナップ部門の方はどうも・・・」

これこそプロの本音であろう。じっくり撮れる作品はレベルが高いが、スナップのように限られた時間の中で仕上げる作品のレベルが低いということを言っている。

 2月の月例会で惜しい作品を見つけたので紹介する。
スナップ部門の入選なので、かなりレベルの高い作品である。


きれいに新郎新婦がガラスに映りこんでおり、この作品のメインは「映りこみ」だと言える。ではこれをプロカメラマンが撮ればどのように撮るかを考えてみた。映りこみだけ撮る、実物と映りこみが完全対称になるように撮る、とにかく作品の仕上がりイメージが定まらないので、いろいろなパターンを撮るだろう。少なくともその場で作品を完結させ仕事を終えるために。

周りの何人かの意見を聞いてみると、この作品は振り向かせる何かが足りないということで一致した。


これだったら「うん?」というであろう。
この作品の場合、新婦までいれるより、新婦を入れないで、トリックを忍ばせたほうが良さそうである。
「あれ、何の写真」といってきっと立ち止まるはずである。