コラム

見出し 銀塩とデジタル
更新時間 2005/10/24 名前 よねやん
本文 <銀塩とデジタル>

 少し前の話になるが東京YPCの会員である田邊さんが、全日本YPC展で審査員特別賞を受賞した。


夢あがる  田邊勝二さん撮影

 今年も上位は力作ぞろいで、大きく引き伸ばされた作品はすばらしかった。今回の特徴は田邊さんの作品を含む上位2作品がデジタルカメラによるということで時代の流れを感じられずにはいられない。しかも2名ともキャノンのデジタル一眼レフによる作品だ。「キャノンのデジカメ」ということをもう少し誇張しておけば協賛のキャノンからの商品も変わっていたかもしれない。

 「今年は偶然上位がデジカメ」
 「やっぱり大伸ばしするならポジフィルム」

などの声も銀塩愛好家から聞こえてきそうだが果たして偶然だろうか?今回はその点について筆者なりの意見を述べてみたい。

 デジタルと銀塩を語るとすぐに話題は画質の比較に行く。600万画素のデジタル一眼レフの登場でその議論も不要となった。デジカメが画質で追い抜いてしまったからである。ISO100でしかも適正露出で撮られた作品であれば大きな差にはならない。しかしISO800でしかも露出不足のような悪条件の場合、銀塩の画質は悪さを露呈してしまう。ザラザラで粒子が目立って作品にならないのである。

 「明るいところなら高感度など必要ない」

という人も多いことであろう。ここがポイントなのである。たとえばあなたが昼間に運動会で作品を撮るとしよう。ISO100でF8の1/500秒で切れるとする。普通に撮るなら十分である。ここで人の表情を撮るために400mmの望遠レンズを使うとする。ブレるのでシャッター速度は1/1000秒は必要だ。すると絞りはF5.6になる。少し日陰に入るとF5.6の1/125秒くらいになる。これではブレてしまって撮影不可能である。(走る人を撮る場合、正面から1/500秒、横から1/1000秒が必要)
 これがデジタルだと高感度で撮れるので話が異なる。ISO800だと3段分露出が違うので日陰でもF5.6の1/1000秒くらいで切れるのである。この撮れるか撮れないかの差は大きい。
 ここで別のことを言う人がいる

「写真はISO100で撮るのが王道、暗ければ三脚、遠ければ足を使って近くに行くべし!」

 確かに百歩譲って銀塩のISO100で撮るのがキレイだとしても、事実上不可能な場合が多い。運動会でもみ合う中、三脚を立てるのはヒンシュク以外なにものでもない。近くで撮るといっても限度があるので望遠レンズが必要だ。また脚立に乗って撮る場合は当然手持ちの撮影となる。要するに銀塩にこだわっていてはチャンスが少なくなるのだ。
 そのほかデジタルは結果がその場で確認できることが大きい。写真の場合は

「見た感じ→撮った感じ→作品にした感じ」

がそれぞれ違い、良い作品が撮れたと思っても作品ではパッとしない時やその逆の場合をよく経験する。デジタルであればその場で画像が確認できるので、今ひとつの場合は取り直しがきくし、良い作品が撮れた場合は次の作品にかかることができる。ようするにデジタルは効率よく作品が撮れるのである。

 またデジタルに移行する人は行動力があり、自ずと作品にも行動力が現れる。受賞後に田邊さんと話したら、デジタルに関する豊富な知識を熱く語ってくれた。デジタルのメリットを理解して作品に生かしていることがよく分かった。すでにキャノンの5Dという30万円以上もする後継機も注文したという。

 さらに田邊さんはスペイン旅行を予定されており、それに5Dを持って行きたいそうである。この田邊さんの行動力には頭が下がる。今回の受賞は決して偶然ではなく必然なのだ。また持ち前の行動力で世界中を飛び回り、すばらしい作品を撮ってくれるに違いない。