コラム

見出し カメラマンの作法
更新時間 2006/07/25 名前 よねやん
本文 ◇よくカメラを構えるときに「わきを締めて」などといわれる。 では縦位置の場合、読者はどのように構えるだろうか? 最近のカメラの多くは右手側にグリップが付いているため右腕を上にするほうが安定する。 多くの読者もそうしていることだろう。 カメラ雑誌を見ても標準的な構えとして書いてあるはずだ。 ところがこれが大違い、カメラマンの作法としてはあまり良くないのである。

◇よく記者会見などでカメラマンがウジャウジャいるシーンを想像してみて欲しい。 狭い場所に多くのカメラマンが構えている。そこで右腕を上にして縦位置に構え たらどうなるであろう。右腕は横の人の邪魔になるし、後ろの人も被写体と被ってしまう。 とにかく周りが迷惑するのである。プロカメラマンの使用する機材の多くは縦位置用のシャッターボタン がついているので問題はないが、それでも長年のくせで右腕を下にして 構える者は多い。現場の作法は現場でしか分からないものだ。


このように右腕が被写体にかぶってしまう

◇地域が変われば作法も変わる。撮影会や報道の現場で脚立に乗っ て撮影する姿をよく見かける。場所取りができてしかも高い位置から 撮れるので便利なのだ。背の低い日本人には必須のアイテムなのである。 しかし海外で脚立は特別なものでカメラマンが使用することは少ない。 背が高いということもあるが、それ以上に早めに行って脚立で場所取り するという概念がないので必要がないのだ。よく海外で取材をすると、 後からノコノコとやって来て強引に撮影ポジションに割り込んでくる外国人を見かける。

◇「すまない」といいつつも本人は「お互いさまなのだから」 と反省する様子はない。早くから待ち続けるという美徳が外国人 には理解できないのだ。まさにこれが「日本人の品格」のように思えるのだ が国際的には通用しないようだ。もうすぐパリやミラノのファッションショ ーが開催されるが、ここでは狭い場所に世界中からカメラマンが詰めかける。 さすがに地元のカメラマンも場所取りが必要になるが、このやり方が汚い。 地元のコネを利用して開場前から場所を取っているのだ。 カメラマンの作法なんてあったものじゃない。 日本人が1番のりで駆けつけるとすでに花見席のように名前を書いた 紙がたくさん貼られているのだ。これは日本人の感覚では明らかに美徳に反する。

◇最後に脚立の話をもうひとつ。日本で見慣れた脚立も海外で買うと なると一苦労するらしい。屋根でも上るような重くて大きなタイプは 探せば職人用としてあるようだが、3段くらいの小さく軽いタイプはど うやら日本でしか売っていないようだ。需要が少ないためと、200キ ロくらいの巨漢が乗ってケガでもしたらすぐ訴訟なので商売にならない らしい。ニューヨークの日本人カメラマンが赴任中に「その軽い脚立ど こで売っているのだ?」と50回くらいアメリカ人に聞かれたという。 それくらい日本の軽い脚立は珍しいのである。

雑然と並べられた脚立、大きな事件が起きるとすべてなくなってしまう