コラム

見出し 感性の開花
更新時間 2006/08/21 名前 よねやん
本文 ◇最近はコンピュータによるデジタル組み版が普及し、自分の撮影した作品を写真集にする人が増えている。 簡単で人気なのがアスカネットという会社が行っているマイブックというものだ。

http://www.mybook.co.jp/

これは専用の組み版ソフトを自分のパソコンにインストールし、画面上に自分の作品をレイアウトするだけ。 あとはインターネットを使って送信すると1週間ほどで自分だけの写真集ができあがる。

◇価格は大きさやページ数により異なるが、A4ほどの大きさ28ページ組で6000円程度と安い。 1冊から注文可能だ。ちなみにこの写真集には注文番号というのが印字されおり、 その番号を指示するだけで増刷ができるとのこと。ベトナムで印刷と製本をして日本に 空輸するのでこの安さが実現できるらしい。少し前なら写真集を出すというだけで 印刷の版下料金やらなんやらで100万円以上もかかっていたのだから価格破壊とはこのことだ。

◇安く写真集を出版できるようになり弊害としてわけの分からない写真集が書店に並ぶようになった。 ピントやフレーミングがしっかりしているものが「良い写真」と思うのであるが、 そういうものとは程遠い作品が並んでいるのである。ただ海で波を撮ったものであったり、 見たくもないオヤジのセルフポートレートを見せられたり、 筆者にとっては意味不明なのだがそれを作者は「おまえに感性がないのだよ」と 言わんばかりに価値観を押しつけてくるのである。やはり良い写真は誰が見ても良いはずで、 撮影者の自己満足に終わってはいけないのである。要するに価値観の精度が悪すぎるのだ。

◇それと写真集で感じるのは「カメラマンって文章が書けないなぁ」ということだ。 作品にはせいぜい題と撮影日くらいで、あと3行くらいずつでもコメントを書けば マシな写真集になると思うのだがそれが書けない。エライ先生でもできない人が多い。

「優れた写真があればすべてを語ってくれる(文書などいらない)」

といういいわけは聞き飽きた。優れた写真に優れた文章がついた方が良いに決まっているのである。 逆に文章がうまく、街のスナップ写真に気の利いたエッセーなどを付けるような写真家もいるが 写真が思いっきりヘタだったりするので世の中うまくはいかないものだ。

◇「感性」と称して最初から理解不能な作品作りに走るのだけはやめて欲しい。 まず写真の基本をきっちり学ぶこと。被写体が向かってきたらフレーミングしながらピントを送る、 長玉でブレないように構える、タイミング良くシャッターを切る、 短い時間で広角から望遠まで何パターンか撮り分けるなど基礎になることは山ほどある。

◇銀塩のレンジファインダーカメラを首にぶら下げ青山の街を闊歩しながら

「このレンズの描写がたまらないんだよね」

などと言っているようでは写真の基本を学ぶことなどできない。 それよりは重い望遠レンズを持って子供の運動会を撮った方がずっと写真はうまくなる。 音楽や踊りなどと同様で基礎ができないと感性は開花しないのだ。