コラム

見出し 銀塩カメラの話
更新時間 2006/09/21 名前 よねやん
本文 ◇筆者は銀塩カメラに否定的で

「良い写真を撮るためにはデジタルが有利」

ということを一貫して言ってきた。要するに自動小銃と火縄銃くらいの違いがあり、 いくさをする前から結果が分かっているようなものでなのである。 撮影コマ数、感度、描写力・・・どれをとってもデジタルが有利で銀塩の勝るところは 何も見あたらない。強いて勝る部分を挙げると「おもむき」くらいであろうか。
◇このような話ばかりするので筆者は銀塩派から評判が良くないのであるが、 今日は少し許してもらうために銀塩の話をする。

◇実は筆者はカメラいじりが好きで、銀塩カメラだけで50台ほど持っている。 いろいろ中古カメラを買ってきては時代考証を行い、そのカメラについて勉強するのである。

◇たとえばニコンFという名機があるが、それだけでも数えると8台もあった。 色、製造年代、露出計などの違いで気が付くとそれだけ勢揃いしてしまったのである。 何度も言うように銀塩カメラはもはや撮影には向かないのでそれらに フィルムが通されることは殆どない。たまにシャッターを切ってみて時代ごとに異なる シャッター音を楽しむのである。


気がつけばニコンFが8台も勢ぞろい

◇昔のカメラは1台ごとの手作りで信じられないような手間がかかっているものもある。 初期のライカなど当時は1台で家が1軒買えていたほど高価で、 また今使ってもそこそこ撮れるので驚きである。 50年前に発売されたニコンFだって当時は大卒の初任給の4倍ほどしたそうで、 今の感覚でいうと100万円くらいのカメラということになる。 これも銀塩カメラとしては今でも十分使えるだけの性能を持つ。

◇レンズも昔はスゴイものがたくさんあった。 たとえば旧いニコンの50ミリの標準レンズを分解すると、 絞り環が回る部分にベアリングの玉が50個以上入っていて 精密機械のように正確な動きをするので感動する。 ニコン・プロサービスのベテランサービスマンにこの話をすると

「そうなんですよー」

と言って10分ほど修理方法について熱演してくれた。 なんでも分解修理をして組み立てるとき、グリスをノリ代わりに ベアリングを絞り環にくっつけて落っこちないようにそっと組み立てるそうである。 そうしないと50個以上のベアリングが綺麗に並ばないそうだ。 そのあとに灯油を流し込みグリスを洗い流す。作りもスゴイが修理にもすごく 手間がかかるそうだ。

◇そうやって職人が組み立てる銀塩カメラであるが、 対するデジタルの場合は壊れるとユニットごと取り替えるので、 ユニットがあるうちは簡単に直るのであるが無くなると簡単に 「修理不能」と言われてしまう。

◇ニコンとして最初に出した1眼レフデジカメであるD1を筆者は持っているが、 発売から7年経った現在ガラクタ同然で家の機材庫に眠っている。 まだ問題なく動くのであるが性能が低すぎて使えないのである。 「すぐに性能が陳腐化する」「パーツがなくなり修理不能になる」 の2本建てでデジタルは賞味期限が短いのである。もしあと5年後に壊れたら「修理不能」 宣告されマグネシウム合金のかたまりになるのは必至だ。 ただし所有するニコンのD1は製造番号が27番という非常に 珍しいものなので記念に残しているだけだ (普通は30番より若い番号は世の中に出回らないと言われている)。

◇デジタルはおいしく使える消費期限が非常に短く、アナログは味は別にしていつまでも 使えるので賞味期限が長いのである。