コラム

見出し フィールドを変えよう
更新時間 2007/02/20 名前 よねやん
本文 ◇「写真の感性」というコラムの中で

「お気軽写真を撮っては感性を押し付けてくる人はいつか行き詰まると思う」

と書いたが今回はその理由をさらに述べてみたいと思う。

◇写真コンテストの高校生の部の作品を見ると、女流写真家ブームの影響か 女子生徒からの応募が多く、その斬新さに審査会場は盛り上がる。 カメラ会社のスポンサーも

「若い写真愛好家の芽が育っている(20年後も安泰だ!)」

などと言って頬がゆるむ。確かにその作品の多くは大人には無い感性 を直球で投げ込んでくるのであるが、受ける側も慣れるとその球種が ワンパターンなのに気づく。

◇殆ど撮影場所は校内、被写体はセルフポートレートか友達を入れた演出写真。 最初は高校生活の舞台裏などがドキュメンタリー風に映し出さ れていて面白いのだが、審査員も見慣れると飽きてくるのだ。

◇校内であっても、合格発表の感動を作品にするとか、 化学部の実験シーンをコミカルに収めるとか、 いろんな表現方法があると思うのだがそのような応募は少ない。 どうも友達同士で騒ぎながら写真の撮りあいをするのが楽しいようなのだ。 要するに世界の狭いお気軽作品が多いのであるが、 大人の審査員にはそれが斬新に映り、感性を感じてしまう場合があるのだ。 校庭から一歩外へ出ることが大切なのだが、 それでは大人の一般作品とフィールドが重なってしまい、 高校生という優位性が無くなってしまう。難しいところだ。

◇では大人の場合はどうであろうか?学生と違って金銭的に余裕が あるのでフィールドは広くなる。ただし最近は肖像権などが 厳しく対面や世間体が気になるので別の意味で作品が限定されることも多い。 よって誰にも文句を言われない風景、動物写真、街中、公園、 祭りなどの作品が多くなる傾向になる。

◇結局、大人の場合だってお気軽に作品が作れるフィールドに 偏りがちで世界が狭い点では高校生と大差はない。 そこで他人よりも優れた作品を目指すのであるから感性が重要となる。 よって感性のある人は秀作を量産することになるのだが、 これも長くやっていると必ず行き詰まってしまう。 その一番の原因はフィールドが変わらないということだ。 同じような状況で作品を作るのであるから、長くやると感性がタマ切れしても当然なのだ。

◇それを打破するためには、フィールドにこだわらず何でも撮ってみることだ。 スポーツ、夜景、水中、天体、舞台、モデル、結婚式など、 なんでも撮ってみることだ。すると他人と同じ場所へ行ったとしても、 自然と被写体に対する反射神経みたいなものが身につき、 ひとあじ違ったパターンで作品づくりができるようになる。

◇下の作例は東日本読売写真クラブの研修セミナーで筆者が 撮影したものである。木曽川で鵜飼いを撮るという企画で、 どうしても鵜を収めるために神経が集中してしまうのであるが、 日ごろからいろんなものを撮っていると被写体に対して 自然と体が反応するのだ。感性を信じて渋い鵜の作品を狙うのも良いが、 反射神経と慣れだけに頼る作品づくりも悪くないのである。


鵜飼を待つ間にワンちゃんを乗せた車が通る。
一瞬の出来事だったがすばやくプログラムモードに切り替えて撮影



川鵜の編隊飛行、これも一瞬の出来事


お決まりの鵜飼の作品、平凡な画角なので大失敗!