コラム

見出し 必然の秀作
更新時間 2007/03/27 名前 よねやん
本文 ちょっと失礼な言い方になるが、写真雑誌の入選者の喜びの声を読むと

「写真は一期一会、運良く撮れました・・・」

などというコメントを飽きるほど目にする。確かにその一瞬の現場に居合わせないと写真は撮れないのであるが、そのような幸運だけで秀作を量産することは不可能である。

◇プロの仕事の場合、依頼に対して必ず納期が指定される。新聞であれば長くて1週間、 短い場合は2時間という場合もある。例えば朝の9時すぎに日経平均が1万円を割れたとする。 するとデスクから

「夕刊用に株価ボードを見つめる投資家の写真」

などという仕事を言われる。 通常は場所も図柄の指定もないので、 カメラマンの判断で絵になるような場所に出かけてそこからパソコンで 画像を送ることになる。

 ここで読者へ質問、
「上記の仕事で一番大切なことは?」

答え
「必ず納期(夕刊の締め切り)までにそれなりの画像を送ること」

◇ここで写真の内容を考えた読者は不合格である。 プロの場合、納期が一番大切なのである。
「良い写真のためには少しくらい遅れても・・」

などという考えは通用しない。逆に

「納期に間に合うなら多少写真が悪くなっても・・」

ということは多い。いくら良い写真であっても納期を過ぎて しまうとただの紙屑にしかならないのだ。 その中で最大限に良い写真を撮るのがプロというものだ。

◇次にその納期の中で良い写真を撮るにはどうすれば良いだろうか。 適当に証券会社の株価ボードへ行っても見飽きた図柄しか撮れない。 またそこで絵になるまで、一期一会を待っていていては失格である。

◇そのような状況でベテランはナルホドという写真を撮ってくることが多い。 理由は簡単で日頃から下見などの苦労を惜しまないので準備が十分なのである。 またそれが不十分な場合は、知っている人に聞いて状況をすぐに調べる。 実は紙面を飾る良い写真は偶然ではなくて必然の産物なのである。 運に任せるのはプロの仕事とは言えないのだ。

◇最近の東京YPCの撮影会は決められた行程の中で質の高い作品が 撮れるようになっている。これも理由は簡単で事前に下見をして準備ができているからだ。 5月に京都と神戸の撮影会があるが、もちろん下見を行う予定だ。 また今年の10月には東日本の研修セミナーが東京・代々木の青少年センターで行われる。 周りには明治神宮、代々木公園、原宿と撮影ポイントが盛りだくさんだ。 早速その界隈の下見をしてみたが、かなり面白い作品が期待できそうである。 これは大きなイベントなので3回くらいは下見の必要がありそうだ。

◇作品を撮る場合に運を利用することも大事であるが、それだけでは必ず限界がある。 一に段取り、二に段取り、とにかく撮影のイメージを描いて準備をすることをお勧めする。 幸運で撮れた作品も嬉しいものだが、綿密な計画のもとに撮れた必然の秀作は もっとうれしいと言える。


明治神宮を下見した時に撮影


原宿を下見した時に撮影