コラム

見出し ストローク調整
更新時間 2007/09/10 名前 よねやん
本文 ◇マンガのゴルゴ13は超一流の殺し屋(スナイパー)で、1キロほど先にある標的をいとも簡単に打ち抜いてしまう。カメラで例えると600mmの望遠レンズを三脚も使わず構え、シャッター速度1秒ほどでブレずに撮影できるようなものだ。マンガだから何でも許せるのであるが、その中でゴルゴ13が機材(主にライフル)に異常なまでこだわるシーンが頻繁に出てくる。ゴルゴ13はいつも一流の職人の仕事を好み、多額の費用をかけて一流の機材を用意させる。一流の仕事とはそのようなものであるが、その中で以前にライフルの引き金に関する話があった。

◇筆者はライフルをアメリカの射撃場でしか触ったことがないが、上級者的に言うと引き金にも微妙なタッチがあって、軽いほど打つ瞬間に銃身がブレなくて良いそうだ。ゴルゴ13の使うライフル(主にアーマライトM16)の引き金はフェザータッチといって羽根が触れても弾丸が発射するほどよくできているという設定になっている。

◇あまり知られていない話ではあるが、プロの使うカメラも引き金ならぬシャッターボタンの微妙な調整ができる。フェザータッチとはいかないが、半押しの位置からシャッターが落ちるまでのストロークを極端に短くできるのだ。これはあくまでプロサービスがプロに対して行っているもので、残念ながら一般には受け付けてくれない。

◇ストローク調整を行うと、多分シャッターを押すのに10ミリ秒くらい早くなるのであろう、サッカーでいうとボールの写っている位置が1メートルくらい違うので大きな問題だ。毎秒10コマで連写すれば関係ないと思っている人は大間違い、ゴールシーンだと最初の一コマが重要で、約100ミリ秒後の次のコマにはまずボールは写っていない。それくらい一瞬の出来事なのだ。神経質なカメラマンになるとストローク調整を行ったカメラを5台くらい触ってみて一番感覚のよい機体を選んで仕事に使うほどだ。

◇たまに送別会などでお店の人に記念写真のシャッターをお願いすることがあるが、ストローク調整したカメラを渡すと必ずと言ってよいほどバシャバシャと2?3コマの連写を行ってしまう。それくらい微妙なタッチのカメラができあがるわけだ。以前にそのようなカメラを最初から作れば売れるのでは?とメーカーの技術者に提言し、逆に一蹴されたことがある。自分の意志に反して何回もシャッターが落ちると電池やメモリの容量が減ってしまうのでアマチュアには人気が出ないとのことなのだ。ナルホド、機材としてはプロ仕様をうたいながらも販売している製品はアマチュアをかなり意識しているのだ。

◇同じような話で、あるメーカーでオートフォーカスが合わないとシャッターが落ちない仕様のカメラがあった。きっちりピントが合えば問題なく落ちるのであるが、「合わないと落ちても仕方ないでしょ!」という技術者の勝手な判断だ。プロにしてみれば、ピントが多少ずれていても撮れることが優先されるのでこの仕様には猛反発が出た。結局折衷案として押せば必ずシャッターが落ちるスペシャルファームを積んだ機種がアテネ五輪の頃に出回ったことがある。マーケティングの結果ではプロが1台使うとアマチュアへは約20台の波及効果があるという。つまりプロが使ってくれることは大事だけれど、実際に使う大半はアマチュアであるからメーカーが二枚舌をつかうのも仕方のないことであろう。

#今日は写真に関して話題がないので横浜の作品を掲載する
月明かりとカップル、映画「同じ月を見ている」を思い出してしまった


大道芸に沸く人たち、表情が分かるように長めの望遠で正面から撮るのがコツ


大桟橋の夕日、同じような位置から撮影している人がウジャウジャ
ハガキのような作品を皆で撮ってどうするつもりなんだろう?