コラム

見出し 画角の問題
更新時間 2007/12/22 名前 よねやん
本文 ◇注文していたデジタル一眼レフ、ニコンのD3が届いた。と、言っても動作確認をしてカスタム設定を行い、そのままカメラバックに収めてしまったので感慨も何もない。ただ新しいものが届いたのでバックに補充したという感覚だ。それはさておき、今回はこのD3を使った印象を紹介してみたい。

◇下馬評通り、ニコンはきっちりと仕上げてきたという感じだ、本当にスキがない。強いて言うなら1)AFの測距エリアが画面の中央寄りに作られているのでバランスが悪い 2)秒間11コマのクロップモードで撮影するとAFが追尾しない くらいなもので、高感度、ファインダーの見えの良さ、一皮むけた画質の良さなどを考えると欠点も許される範囲のものだ。そう言ってしまうと後が続かないのであるが、実際には1つ大きな問題があることに気づく。それは「画角」の問題だ。

◇1999年9月末にニコンからD1が65万円という驚きの低価格で発売された。 当時コダックから出ていたデジタル一眼は200万円ほどしていたから破格の価格だ、多くの人が当然飛びついた。筆者もその一人で、その頃から銀塩カメラを使わないカメラマンは結構多い。たくさん撮れてその場で確認できるなど、一度デジタルの便利さを知ってしまうと面倒くさい銀塩の世界には戻れないのだ。

◇D1の撮像素子は今で言うAPS?Cサイズ(横23.4ミリ縦16.7ミリ)なので、 35ミリフルサイズ(横36ミリ縦24ミリ)の周りをトリミングするのと同様で画角が狭くなる。 結果としてレンズの焦点距離が1.5倍相当で撮影することになる。 たとえばD1に200ミリの望遠レンズを付けると銀塩の35ミリフィルムなら300ミリに相当する。発売当時は28ミリの広角レンズを付けても37ミリ相当にしかならないので不満も多かったが、12?24ミリなどの超広角の高性能レンズが発売されて広角側の問題はクリアされた。むしろ望遠側で機材が軽く済み、今では1.5倍のメリットの方が大きいと言える。スポーツ写真にしても400ミリがあれば殆どが事足りてしまい、600ミリなどは出番が少なくなった。また18?200ミリという非常に使いやすい高倍率ズームレンズの発売が追い打ちをかけた。このレンズは従来の銀塩カメラでは理論上、設計できなかったものだ。筆者を含めデジタルを使うカメラマンは7年の歳月を経て完全に1.5倍の世界に慣れてしまったのである。

◇そこで困ったことにD3の発売なのだ。D3は撮像素子が大きくなり、 従来の35ミリ銀塩カメラと同じになった。要するにニコンの考えとしては 「以前の画角に戻ったので使いやすいでしょ」という理論なのであるが現場のカメラマンにすると 予想以上の戸惑いがある。まず頻繁に使用する70?200ミリF2.8は、1.5倍であると 300ミリ相当でかなり大きく撮れるが、D3の場合はそのままの200ミリの画角なので迫力が 落ちるのだ。そのために70?300ミリを使ってみたが開放値がF5.6と暗い製品しかないので使いにくい。300ミリの明るいレンズは単玉になるし、要するにフルサイズの撮像素子は取り回しが悪いのだ。

2000年のシドニー五輪の時にニコンの技術者は

「APS?Cサイズがデジカメでベストなサイズだと考えています」

と言っていた。
2004年のアテネ五輪の時は
「現状ではAPS?Cサイズがベストですがフルサイズも研究しています」

とトーンがかなり変わってきて2008年の北京五輪を前に

「フルサイズ、APS?Cサイズは用途により共存して行きます」

などと言ってD3を出してくる。確かにフルサイズは画質の面で有利なので正しい道筋ではあるが、 撮り手側としては使い分けが大問題だ。フルサイズ化への流れは止まりそうにないので 感覚や対応機材を変えるしかない。これまた時間がかかると思うが速いデジタルは流れについて行くしかないのだ。



D1が出る前に200万円ほどで売られていたコダックのデジカメDCS420。
銀塩カメラであるF90の下に無理やりユニットを合体させたもの。



DCS420の背面、なんと液晶画面が無い。メモリカードを抜き、 パソコンでしか画像を確認できなかったので、デジカメながら「仕上がりの感動」みたいなものが あった。


デジタルの幕開けをもたらしたニコンD1。今にして274万画素は物足りないが、RAWデータを最新ソフトで現像するとしっかりした画像には感動する。


フルサイズになったD3、高感度撮影による新しい作品が今後出てくることだろう。


テストがてらD3を使って外苑前で撮影。
フルサイズによるボケ味が素晴らしい。



これもD3で撮影、犬がペロッとした一瞬も簡単に撮れる。