コラム

見出し シャッター速度
更新時間 2009/02/26 名前 よねやん
本文 ◇写真愛好家の多くは絞り優先モードで撮影することが多いが、筆者としてはあまりお勧めできない。絞りを選び、被写界深度を気にしながら撮ることは一見してレベルが高く、匠(たくみ)の臭いがする。確かに絞りのコントロールは大事だが、それ以上に注意すべき点がある。「シャッター速度」である。いくらピントが合っても、手ブレや被写体ブレを起こしては全く意味をなさないからだ。

◇例えば、スポーツを撮るときは500分の一秒が基準となる。ただ状況により微調整が必要になってくる。走者を正面から撮る場合は500分の1秒、横から撮る場合は動きが早いので1000分の1秒という具合だ。また流し撮りだと15分の1秒くらいで、水辺の競技で水しぶきをピタッと止める場合は4000分の1秒くらいが最適となる。これだけ幅広いシャッター速度を多用するのであるが、プログラムや絞り優先モードだけで撮っている人がどれだけ多いことか。

◇最近は何でも難しいことはカメラに任せて「とにかく外に出て写真を撮ってみよう」というのが写真界全体の傾向である。先ずは撮ることが大事なのであるが、押して写すだけでは作品の幅に限界が出てくる。そこでシャッターと絞りの関係を理解し、意図通りに露出を操ることが重要となってくる。

◇若手写真家の中には露出について理解が浅く、ブレブレやピンぼけの作品を撮ってきては、それを自分の作風として押し売りするとんでもないケースが見受けられる。そのような作風は時にして受けることもあるが、要するに変わった風味のカップラーメンのようで、そのうちに飽きられる運命にある。ち密で手の込んだ料理ではないのだ。やはり、ライバルから抜き出るには基本的な勉強が必須で、何もやらずに優秀な成績を取ることは無理なのだ。

◇昔はカメラと言えば理科系のセンスが無いと操れないものであった。原理を基にマニュアルの世界で撮るしか仕方なかったのだ。今はカメラが全て行ってくれる。それ故、難しい理屈が苦手な女性にも受け入れられ「女子カメラ」なる世界が市民権を得てきた。だが逆にそのような作品が氾濫してしまい、そろそろ飽きてしまった感もある。もし、読者が更に上のレベルに到達したいのであれば、カメラについての基本原理を改めて勉強することをお勧めする。

◇昔、ゴルフのティショットの瞬間を撮った不思議な写真があった。ボールとクラブヘッドの当たる瞬間を見事に捉えた写真であったが、何故か振り切った後のクラブヘッドも写っていたのである。あるカメラマンは合成写真だとか心霊写真だとか言っていたが、これはカメラの構造を知っていいれば説明できる現象である。詳しい理屈は省略するが、カメラのシャッター幕より早い速度でクラブヘッドが動いたとしたら、あるタイミングでこのような現象が発生するのだ。

◇カメラの原理を理解し、逆にこのような現象を利用して誰も撮れなかった作品を世に送り出すことが可能だ。少なくとも心霊写真だと騒いでいるようじゃ凡人カメラマンから抜き出ることはできないだろう。



東京駅のホームの下では社内清掃員のための資材棚や休憩所がある。
手前に線路が2本あり、ほとんど停車中の新幹線で隠れて見えないのだが、
1日に数分だけこのような光景が見られる