コラム

見出し 反応して撮る
更新時間 2009/09/23 名前 よねやん
本文 ◇昔なつかしい小学校のトラックのような形の線路。その上を電車がグルグル周回する。 重厚な音はせず、「カトコト」と薄っぺらな音がせわしく響き渡る。 鉄道模型・プラレールの話だ。長年押入れの奥に眠っていたのだが、 思い立って引っ張り出してみたのだ。いろいろな規格の鉄道模型があるが、 子供向けといえばプラレールが定番である。煩雑に扱っても壊れないし、 組み立ては簡単、値段も手ごろで、1万円も出せば立派なコースが構築できるという具合だ。 「ゲーム機を買い与えるより、安いし教育のためには良い」と大人に思わせ、 製品としてのイメージ戦略が成功している。爆発的には売れないが今でもコンスタントに売れ続け、 メーカーとしては安定した商品ということだ。

◇プラレールを動かしてみたのは遊ぶためでは無い。 今日は写真のお勉強に使おうという目論見だ。 せわしく動き回る電車をファインダーで追いかけ、 シャッターを押すのは意外と難しいものだ。向かってくる電車を縦位置に撮ったり、 流し撮りを行ったり、写真を撮るには絶好のトレーニングになるのだ。 例えば、模型の橋に電車がさしかかった瞬間を撮るとする。 数秒で1周するのでデジカメであれば、次々と撮影できる。 シャッターのタイムラグがあるので当然早めに切らないとタイミングが合わない。 デジカメ一眼レフでも高級機であれば反応が早いので比較的撮りやすい。 反面、安い機種になると反応速度が遅いので、 かなり早めにシャッターを押さないと良いタイミングでは写せない。

◇このような感覚的なことは写真雑誌を見たり、 写真教室を聞いたりしているだけでは覚えられない。 確かに聞けば納得して上達した気になるのだが、 それは机上での学習なので実際に体で覚えたものではないのだ。 これは写真に限ったことではない。 例えば、料理番組を見るだけでは料理はうまくならない。 実際に包丁を持って材料を切り刻み、調理することによって学ぶものなのだ。 逆にしっかり学んだわけではないが、必要に迫られて実践から料理を学んだ人は多い。 そういう人が料理番組をチラッと見るだけで同じものをすぐに作ってしまう話はよく聞く。

◇報道カメラマンの世界は少し変わっていて、まったくカメラも触ったことの無い人が多く 採用されて、現場の実践を通して撮影技術を学んでゆく。カメラの理屈なども一応勉強するが、 とにかく実践が中心となる。「国会の廊下だと125分の1でF5.6」 「プロ野球のナイターだと最低で250分の1」 「AFはシャッターの半押しではなく、親指のAFボタン」 「縦位置は右腕が下(他社の邪魔にならないため)」 という具合に理屈は抜きに体で覚えて反応で撮りなさいということだ。 だから被写体が歩いてきた時、あれこれ考えずにカメラを構えて反応で撮ることができるのだ。

 「反応して撮る」ということに関して、モデル撮影会などが良い練習の場になるのでお勧めだ。 1日中カメラを構えてたくさん撮影できるので、上達が早いのだ。これが風景写真の場合だと、 1日かけて現地に出向き、絶好の瞬間はせいぜい10枚くらいなのであまりトレーニングにならない。 風景はほとんどが段取りの時間なのだ。撮影現場までの交通手段を考え、必要機材を考え、 費用を掛けて、風景写真はそれら全体が撮影の練習になるのだが、 実際に機材に触れる時間が短いのが問題といえる。 被写体に向かった時に撮れなくては意味が無いので、とにかく反応して撮れることが先決なのだ。

◇長嶋茂雄さんが野球の解説をしたとき、アナウンサーに 「この投手の球をどのように攻略したらよいですか?」と聞かれ、 「ググッと来た球をバシッと打ちます」と答えた話は有名だ。 全くこれでは解説になっていないのだが、 天才バッターは感覚的なもので反応して打っているので、 理論的な攻略法があるわけ無いのだ。

◇とにかく何事も机上で学習するには限界がある。現場で鍛え上げるのが上達への近道だといえよう。


AFで追いきれないため結構むずかしい


礼拝が終わり服を干しているのだが、妙に絵になり感動!!(都内の某教会近くで)


不評で大赤字と言われる横浜・開国博Y150、入場料2400円はやっぱり高いと思い、
近接するビルからクモのアトラクションENEOS ラ・マシンを撮影する