コラム

見出し ミックス光を避ける
更新時間 2010/01/24 名前 よねやん
本文 ◇大相撲初場所、朝青龍が25度目の優勝を決めた。 けいこ総見では練習不足がいつも指摘されるが、 実践になると強さを発揮する。テクニックや体力などに加え、 勝負勘がスゴイように思える。

◇その相撲中継で土俵近くの砂被りの席から、 報道カメラマンが撮影している姿が目に入る。 20年ほど前まで、相撲協会が女人禁制の伝統を重んじていたために、 この砂被り席に女性カメラマンは入れなかったそうだ。 今では、そんなことも言ってられないので男女による制限は無い。

◇撮影はニコンD3の場合だと、24?70mmにストロボを付ければ画角的には問題ない。 室内撮影のために昔の銀塩時代であれば、動きを止めるストロボ光が必須であった。 今のデジカメであればISO1600か3200くらいで撮ればストロボが必要ないくらいだ。 それでもストロボを使う理由は、照明の具合で顔の面がどうしても暗くなるので補助光的に 使っているのだ。モデル撮影の日中シンクロと同じだ。そのストロボであるが、 よくセミナー時に「オレンジに光るあのストロボは何ですか?」という質問をされる。 答えは簡単、オレンジ色のセロハンをストロボの前に付けているだけである。

◇土俵を照らす光がタングステン光によるオレンジ系統なので、 同色でストロボ光を当ててやろうという作戦なのだ。デジカメで撮る場合、 光源の色が混ざり合うと、どの光に対してホワイトバランスをとって良いのかカメラ側で 分からなくなる。またセロハンを付けないと観客は赤く、力士は青く写るなんてこともある。 銀塩時代も同じ現象は見られたが、昔はバックを暗く落として、 被写体だけをストロボ光で撮れば良かったのでそれほど大きな問題にはならなかった。 デジタルの高感度撮影になってから出てきた問題だ。

◇デジカメが良くなり、同じ写真を撮る場合はずいぶん簡単になったが、 高みを目指すためには、更に頭で考えてカメラを操らなければならない。 例えば、もうすぐ冬季五輪がバンクーバーで始まるが、 昔は競技中にスピードスケートの選手のアップ写真を撮るには、 手でピントを合わせる職人芸が必要だった。それがオートフォーカスが出て、 動体予測で精度が上がり、今では1回ピントが合えば、 勝手にファインダーの中で被写体をカメラが勝手に認識してピントを 追い続けることもできる。要するに、技術が進歩しカメラ自体が職人になってしまったのだ。 カメラマンはその職人を操る手配師みたいなものかも知れない。

◇これからも技術は進歩を続けるだろう。そしていろいろな使い方をされ、 今まで以上にスゴイ写真が出てくるに違いない。 ただし、1つだけ変わらないことがある。「写真は被写体がないと撮れない」 ということだ。いくらスゴイ機材を持っていても現場に行かないと撮れない。 これがある限り、写真の魅力は損なわないだろう。


ストロボにセロハンを付けた状態


いつもは使わないのでこのような状態で収納


外国人が日本を紹介する雑誌で同じようなカットが掲載されていた。
「なるほど、外国人が見た日本のイメージはこれか!」
と思いつつマネをしてとりあえず資料写真として撮影。