コラム

見出し 素のデータ
更新時間 2010/03/30 名前 よねやん
本文 ◇写真コンテストが終わると入賞者には元のデータ提出の依頼がある。昔ならネガを送って終わりだったが、最近ではデジタルカメラが大半を占めるので、当然画像データをCDにコピーして送ることになる。主催者側としては何も加工していない撮ったままのデータ(素(す)のデータ)を送るように強くお願いしているのだが、自分でグリグリ加工したデータだけを送ってくる人がいる。よほど自分の画像加工に自信があるのか、または過度に画像処理をしているので確信犯的に元を提出できないか、いろいろ事情があると思うが、あまりにもグレーな場合は入賞を取り消すこともある。最近は特にこの手の失格者が目立つ。

◇人物を消す、太陽を入れる、鳥を入れるなどはお手のもので、ヒドイものになると勝手に花を持ってきて咲かせたのもあった。本人によると画面のゴミ取りのような感覚で、悪気が無い場合もあるのだが、紙面や写真集にウソを載せることはできないので、丁重に入賞取り消しを伝えることになる。

◇また、画像の加工に自信のある人で「自分の加工したデータを是非使って欲しい」「元データを送って作者の意図と異なる加工を行って欲しくない」と強く主張して故意に元データを送らない人もいる。しかし、本当に画像加工に長けていて完璧な加工データを送ってきた人は見たことがない。大多数の人は彩度が異常に高かったり、コントラストを付けすぎたり、シャープネスをかけ過ぎたり、ほとんどが不完全なデータである。そもそもホームページ用、写真展用、紙面用の画像加工が異なるので元のデータが必須なのだ。それすら理解せずに我流で補正したデータだけを提出するというのだから、スタート時点から画像加工を理解していないといえる。

◇例えば、思い違いの一つに色空間の問題がある。デジタルデータの色空間でSRGBとAdobeRGBというのがあって、入門書を読むとAdobeRGBの方が再現領域が広いとなっている。確かに正しいがAdobeRGBは撮影して画像加工するまでは有効であるが、それをデータとして提出するのは大きな間違いだ。ラボで使っている銀塩のカラープリンタの場合、扱う色空間はSRGBなので提出する場合はAdobeRGB→SRGB変換するのが常識なのだ。もしAdobeRGBのデータをプリンタで出力すると彩度の低い写真になる。絶対やってはいけないことがAdobeRGBによる提出なのだ。「私はAdobeRGBを使っています」と誇示しているつもりが、筆者から見ると「私は色空間について理解していません」に見えてしまう。

◇その他、16ビットデータによる提出、圧縮せずにやたらデカイTIFFによる提出など、良かれと思っていることがほとんど意味のないものになっている。デジタルカメラが市民権を得て、CDによるデータ提出が当たり前になってきたが、中身のデータに関して主催者によってかなりの基準のブレがあるように思える。とにかく素のデータによる提出をお願いしたい。

#ニコンのD3Sを快調に使っているが、本当「S」が付いただけで別物のカメラのようである。例えばホワイトバランスは滅茶苦茶正確になり、撮影後の画像処理が非常に楽になった。暗いところでのAFも強くなり、ゴミ取りの機能も重宝している。


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感謝状自体は心温まる話ではあるが、ネットなどの情報を通じ、同じ方向にベクトルが向いてしまう現在の傾向は少し怖いものがある