コラム

見出し 交渉力
更新時間 2015/05/24 名前 よねやん
本文 ◇JR東日本の新幹線車内に配備されている旅の冊子「トランヴェール」の5月号に、写真家・管洋志先生(2013年逝去)の日光東照宮の作品が掲載されている。 夜の自然光で撮られた作品はどれも幻想的で、作品作りの狙いが明確に見えてくる。

◇管先生は最期まで銀塩カメラを愛用していたが、暗い場面だけはデジカメに軍配を上げ、「夜カメ」と呼んで使っていた。 夜の日光東照宮の作品はノイズや色味から一見してニコンのD3で撮られたものだと思う。

◇この日光東照宮の作品群の優れたところは、夜の東照宮で撮ったという、交渉力と世界観だ。撮影テクニックや撮影センスは二の次だと思う。普通は行けない所にたどり着き、あとはシャッターを押すだけというのが管先生の撮影スタイルだったと感じる。

◇日光東照宮にも撮り始めの頃は毎週末に足しげく通い、神職の方々と懇意になり、先生の自宅の地鎮祭やご子息の結婚式をお願いするほどの関係を築かれたとのことだ。そういう下地があるからこそ、夜の東照宮の作品を世に出すことができたのだと思う。

◇報道関係のカメラマンは、イベントが発生している場所に素早くたどり着き、とにかく場面をスキャニングして他社より早く報道するのが仕事だ。管先生の流儀とはまさに対局だ。コツコツと関係を築き、誰も追い着けない状況でパシリとシャッターを押すだけだ。日々ノルマのあるスタッフカメラマンと写真家との違いはココにある。

◇今はデジカメが良くなり、誰でもそれなりの作品が撮れる状況。そこから抜きん出るには「管流交渉力」が大きな強みとなることは間違いない。特に若手写真家に言いたい。ネットで段取りを調べこむのも良いが、プラスアルファに「対面の交渉力」というのが重要だと。


深大寺で


神代植物園のバラ園で


横浜イングリッシュガーデンで


六本木ヒルズで