コラム

見出し 基準物
更新時間 2015/07/27 名前 よねやん
本文 ◇報道写真は人を配したカットが多い。これは現場の臨場感が増すと共に、「人間」という基準物を入れると状況説明が行いやすいというメリットがある。

人を基準として、その他の物の大きさが分かる
暑そうとか、眩しそうとか人の表情で状況が分かる


基準物は写真説明には欠かせないものだ。また草木の緑色も色の基準になる。人間の目は特に緑色に敏感で、少しの変化も見逃さないようにできている。

◇とにかく人間は基準物によって、画像を正しく認識するようにできている。満月がビルの隙間から昇ってくるとき、とても大きく感じるのはビルという基準物が 見えているからだ。ではわざと基準物を排除したらどうなるか????

次は浅草サンバカーニバルでの一こま。その女の子をUFOキャッチャーのように吊り上げる作品を撮ってみるとこのようになる。




◇とてもユニークだが何かリアリティに欠ける。答えは簡単、周りの景色で人間の目は状況を正しく把握してしまい、 「地面に立っている女の子に指をかぶせて撮った」 と感じてしまうからだ。
この女の子を画像処理で空に浮かべてみた。




◇こうすると、あら不思議。人間は基準物を見失い、
「女の子が指で吊り上げられ空にいる」
ような錯覚に陥ってしまうのだ。基準物をいれて、説明的な作品にするのも大事だが、逆に基準物を外して撮ると不思議な写真ができあがる。基準を入れる、入れないを意識して撮れば写真力UPは間違いなしだ。

先月の本コラムで紹介した作品をもう一度見てもらおう。


トリミングした完成形

どこにいるのか基準が無いのでとても不思議な感じなのだが、実は素のデータはこうなっている。右の人や、枠という基準で「なんだ、壁の写真か」とタネがばれてしまう。
素のデータ

基準物を入れて、しっかり説明する作品
基準物を少しだけ入れて、見る人に考える時間を与える作品
完全に基準物を消して、見る人が混乱する作品

など基準物というタネ明かしをコントロールできれば、写真の幅が広がる。報道写真の場合は「100人が見て、100人とも分かる写真」というのが鉄則なので、基準物をなかなか排除することはできないが、コンクール作品などは自由度が高いので、基準物を消して面白い写真もアリだと思う。ただし、審査員のスキルが低く、審査員自体が作品に混乱して、落選するリスクもあることに注意して欲しい。

◇最後に六本木ヒルズで開催中の夏祭りで ドラえもんトリックアート「タケコプターで空中さんぽ」 というのが大人気だ。ここで記念写真を撮れば、ドラえもんと空中散歩している写真が撮れるというわけだ。


でもこれを企画した方って、写真を撮る人????て思う。 ドラえもんに周りの景色という基準物がかぶさり、台無しだ。ドラえもんをもっと下に移動し、周りの景色が入らないような画面構成になればよかったのに、、、惜しい