コラム

見出し 画像処理と一発退場
更新時間 2015/10/28 名前 よねやん
本文 ◇目障りな電柱を消したり、絶妙の場所に鳥をはめ込んでみたり、このような画像処理の誘惑に誘われたことは読者はいないだろうか?アマチュアで自分だけで楽しむ写真なら誰にも迷惑はかけないが、プロでこれをやると一発退場、新聞社のカメラマンでこれを行うと間違いなく会社をクビになる。

◇過去には何軒か合成処理で会社を去った他社のカメラマンがいるそうだが、そういう人は会社をやめても使ってくれる会社は無く、実質1回の出来心で写真界からは永久追放ということになる。新聞の活字や写真に嘘は載っていないというのが、新聞の信頼性であり、これがネットの情報とは異なる点である。そこにごく一部でも嘘が掲載されると新聞そのものの信頼問題に大きくかかわる。

◇ここで許される画像処理をおさらいしよう。明るくする、暗くする、トリミングする、自然な範囲で色味を変える、など事実が変わらない範囲での画像処理は問題ない。これが人を消したり、無いはずの位置に月を入れたり、目をパッチリ大きくしたり、ウエストを細くしたり、事実が変わる画像補正はNGだ。写真コンクールで審査員にばれなければ大丈夫だという考えがあるが、絶対にダメだ。審査員も画像処理のスキルが高い人ばかりではないので、多分不適切な画像処理を施しても10回に1回もばれないと思う。これははっきり言うと軽犯罪みたいなもので、例えばゴミの不法投棄を行っても、ばれなければ大丈夫という考えと同じだ。仮に審査でばれて失格になっても、アマチュアだと法的にペナルティは無いと思うが、「不正を行う人」ということが周りに知れ渡り、写真を楽しむことは難しくなるだろう。

◇あと複数枚の画像を1枚に合成するコンポジットというのがある。例えば花火など1発だけ撮っても面白くないので、複数発の花火を1枚に合成するという技術があり、これは新聞社でもよく使う手法だ。ただし「同じ位置にカメラを固定し、同じ焦点距離のレンズで撮ったものを合成」という基準がある。よってスカイツリーだけとって、隙間に花火を入れて合成などの画像はありえないのだ。しかも合成した時は「合成画像」とかならず写真説明に入れる。最近ではさらに厳しく、「短時間に撮った複数枚の合成」という基準がある。よく業界では「土台」と呼ばれる薄暮の時に撮った風景全体が分かる一枚を花火に合成していたが、現実の画像とはかけ離れるので「土台」の合成は禁止になっている。

◇ここまでの話で、「画像には一切手を加えるな!」と理解してもらっては困る。写真は撮影までが6割で後の4割くらいは仕上げだと思っている。いくらすばらしい写真が撮れたとしても、「撮って出し」の画像では60点しか取れない。筆者はプリントする時、必ずフォトショップで画像の補正を行う。画像処理を経て初めて100点満点の作品が出現するのだ。昔の写真家は60点の写真さえ撮れば、後はプロラボが100点満点に仕上げてくれた。今は自分で画像処理を施し、40点分を加点する必要があるが、その必要性を認識している写真家はまだ少ないように思える。若い写真家でさえ、我流で画像処理を施し結果オーライで済ませている感じだ。

◇アマチュアの場合は撮影までの得点が低いので、有り余った時間を使い画像処理で挽回する傾向が強く、そこで不適切な画像処理に走ってしまうのかも知れない。どちらにしろ画像処理には要注意、分からない場合は新聞社のカメラマンに聞いて欲しい。


日光の撮影会で、写真家・大西みつぐ先生のような作風だ


日光の撮影会で、報道カメラマンが10人いたら
5人位は同じカットを撮ると思う



六本木ヒルズと中秋の名月、画像合成すれば簡単に作れるが
緻密な計算で1発撮りに挑むのが新聞社だ