コラム

見出し 撮れるだけじゃ食えない
更新時間 2016/04/24 名前 よねやん
本文 ◇スマホに表示される地図を指し、時間を入力すればタクシーが迎えに来る。10年前には考えられなかったが、筆者の生活ではこれが当たり前になっている。あと10年すればタクシー業界は間違いなく自動運転の時代が来るだろう。運転手という職業は激減し一時的に失業者は増えるだろうが、労働人口が減少している日本においては、むしろプラス要因だ。いわゆる産業構造の変化で、ニンゲンはもっと高度な労働にシフトするに違いない。

◇カメラマンも技術の進歩で立場が危うくなってきた。昔は銀塩カメラを扱い、暗室技術があればそれなりの地歩が確立できたが、今では誰もが携帯やスマホを持ち歩き、気軽に撮影できる総カメラマン時代だ。笑顔のタイミングで自動でシャッターを押したり、主題にピントを合わせたり、カメラマンの仕事を代行してくれる。そのうちAIが進むと、カメラが勝手に撮影し作品を切り出してくれるかも知れない。

◇そのときに「やっぱりニンゲン様が撮影しないと」と言うのと「ニンゲン様の運転するタクシーには味がある」と言うのは同じような気がする。カメラマンも今食えているといってあぐらをかいていては駄目だ。潮目の変化はすぐそこまで来ていて、見極める努力が必要なのだ。

◇1999年、ニコンからデジタル一眼のD1が出たとき、デジタル技術を先んじて勉強すれば20年は食っていけると思い、実際にそのようになった。皮肉にも「20年は・・・」という文言まで的中し、今はデジタル技術を知っているだけでは食えなくなってきている。プロもアマもデジカメを使い、画像処理を行い、パソコンで一般公開できる時代だ。プロカメラマンは次の飯のタネを見つける必要がある。

◇その飯のタネのヒントはアウトプットにあると思う。デジタル技術の進歩で撮るまでは差別化が難しいとすれば、あとはどのように写真を見せるかが重要になる。ギャラリーを借りて100万円ほどかけて写真展を行うというのはいかにも時代遅れだ。また写真集というのも昭和時代の発想だ。作品を見せたいだけなら、インスタグラムなどのSNSで情報発信すれば良い。

◇昔は「あの有名カメラマンに表紙を撮らせると50万円」なんて話が話題になったが、もはや有名カメラマンも駆け出しのカメラマンも大差無いとしたら後はアウトプット力だと思うのだ。50万円の写真はクライアント1箇所にしかしか売れないが、SNSの世界だと100円で1万人に売ることができ、仕事はどんどんスケールする。写真集にしても2000円で1000冊売るのは大変で儲けは殆ど無い。しかし電子書籍を300円で5000冊を売れば確実に利益が出る。薄利多売で自分のファンを増やすことがSNSの世界では可能なのだ。次の20年くらいは撮影データのアウトプット力が飯のタネになると思う。

◇知り合いでカメラマン志望の人をたくさん知っている。なんとなくクリエイティブでカッコいいからとか、今の仕事が肉体的につらくなったから、とか言って写真の勉強をしているが、心配になってくる。撮影技術、パソコンの知識、画像処理技術などどれを見ても技量が足りず筆者が20年前に学んだことを今ごろ周回遅れでやっているのだ。驚くことにパソコンが使えず、写真撮影だけで食いたいという知り合いがいたが、周回遅れどころかスタートすらしていない状態だ。少なくともSNSが使えて、ホームページの作成くらいはできないとカメラマンとしてあと20年一線で食っていくのは難しいと思うのだ。


深度合成と言っていろんな位置にピントを合わせた画像を
合成すると全てにピントが合った1枚にできる
今や物撮りの世界では当たり前だが、それすら知らない周回遅れのカメラマンも
存在するのが事実



普通は1箇所にしかピントは合わない


東京ミッドタウンで、人は少なく桜の穴場だ