コラム

見出し 資料写真
更新時間 2016/05/22 名前 よねやん
本文 ◇サラリーマンとして新聞社で働いていると、同じ場所で撮影をしても視点が異なる。

◇先日、大倉山記念館に行った。東横線の大倉山駅で降り、急な坂を上ること5分、山の上に記念館はある。1932年に大倉邦彦により大倉精神文化研究所として竣工されたもので、ギリシャ神殿のような柱など西洋と東洋の文化が融合された不思議な建物はとてもフォトジェニックだ。戦後は資金難で存続が危ぶまれたが、横浜市が買い取って補修を行い、横浜市指定有形文化財に指定されている。現在は一般に無料開放されていて、内部を撮影することもできる。ドラマや映画の収録で使われているので、カットを見ると見覚えがあるはずだ。

◇こういうところにカメラマンが行って撮影する場合、「作品性の高いもの」「コンテスト映えするもの」と考えるのが一般的であろう。もちろん筆者が行っても同じようなことを考える。当然、誰も思いつかないようなカットを何枚も撮ったりするが、それと同時に「誰でも思いつくカット」も忘れずに撮るのだ。いわゆる資料写真というもので、もしも大倉山記念館に何かあった場合は、その資料写真を紙面掲載する場合があるのだ。とにかく資料になりそうなものを収めるのが基本だ。例えば「ギリシャ神殿のような柱」を撮っておけば、そういう原稿が掲載された時に使えるかもしれない。もちろん「大倉精神文化研究所」と文字の入ったカットは必須になる。

◇大倉山記念館の正面わきに、立派なカヤの木があるのを発見した。これが高級碁盤になるのかと思いつつ、やはり資料写真として収める。これは2面の四季というコーナーで、必要になる可能性が高い。会社のデータベースには膨大な写真が登録されているが、基本的に事件事故、記者会見、国会、スポーツなど記事になったものが多いので、単純にカヤの木となるとデータベースに登録されていない場合が多いのだ。

◇以前に職場で「誰かホトトギスのカット持っていないか?」と担当者が叫んでいた。その時は偶然に野鳥オタクのTさんが持っていて事なきを得た。ホトトギスを捜し出して写真に収めるという作業を考えるとゾッとする。新聞社である以上、ネット上の画像を持ってくるというのは絶対に無く、必ずスタッフカメラマンが撮影するか、撮影者の提供を受けないと掲載はできない。それが新聞の信頼性というものだ。そのために事件事故の決定的写真を撮るのも大事なのだが、サラリーマンである以上は地道な日頃の撮影も欠かせないのだ。


大倉山記念館、お決まりの正面


ギリシャ神殿のような柱


吹き抜けが東京駅のようだ





資料写真のため「大倉山精神文化研究所」という文字を入れて


資料写真のカヤの木