コラム

見出し 想定外
更新時間 2016/12/23 名前 よねやん
本文 ◇用意周到に準備を行い、シャッターを押すだけで無駄なく素晴らしい写真が撮れる。それが写真の醍醐味で、そのような流れが仕事には必要だ。

◇イチョウの葉が落ち、枝だけになった12月17日、以前から撮りたかったインコの大群を撮りに行くことにした。場所は東工大の大岡山キャンパス。先日のノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅栄誉教授の所属する大学だ。1年ほど前にテレビでインコの大群が東工大のイチョウをねぐらにしている映像を見て撮りに行こうと思っていたのだ。ただ夏はイチョウの葉が邪魔してインコが並んだ写真を撮れないので今の時期を待ったのだ。

◇夕方4時頃に到着。まだ早いので、大学内を散策していると、百年記念館という建物がきれいに輝き、1カット目をゲット。想定外に不思議で良い場面なので、画角を変えて20枚ほど撮影する。もともと変わった形の建物ではあるが、夕日で階段の影と虚像が交じり合う面白い光景になった。


階段が不思議だ

◇そうする内に、少し離れた校内の高い陸橋に人がざわざわ集まっている。行って見ると富士見坂といわれる場所で、線路の向こうに富士山が見えるとのこと。2月と10月には見事なダイヤモンド富士になるそうだ。この展開も想定外だが、一応自分も撮ろうと思い待っていたが富士山方向に雲がかかりNG。だがそこで一期一会とも言える絶景に遭遇し、2カット目をゲット。それがこのコマだ。東工大では太陽光発電の実験施設があり、その太陽光パネルが夕焼けに輝きを放ち、オマケに奥には高電圧線、非常に不気味な感じだ。


日曜版別刷り(名言巡礼)でメインのグラフに使えそうなカットだ

「この光景を撮らずしてなるものか!」と思いながら撮り終わると、すでに大勢のカメラマンの姿は無く、この人たちの想定は富士山だけで、想定外は目に入らないらしいと感じる。そういう人は何十回も通って、絵葉書のような富士山を撮れば良いのだ。

◇想定外の2カットが撮れた後は、想定のインコの大群がいるイチョウ並木に向かう。ニコンのD810に500mmをセットして校内をうろつく。怪しい格好なのだが、筆者の風貌は東工大に見事にマッチし、誰も不審なまなざしを送るものはいない。秋葉原でもそうだが、理系ぽい場所にはすぐに溶け込めるようだ。これがアカデミックな東京大や一橋大学だったら、呼び止められるかも知れない。大学と一体化しながら10分ほどインコを探してうろつくが、なぜかカラスすら見つけられない。

◇結局、想定していたインコが撮れなかったが、想定外の面白い2カットが撮れ、写真の収穫としては十分だった。また想定外を写真に収められない大勢のカメラマンも目にし、現場対応力の重要性も認識することができた。

◇後日、野鳥撮影のプロに聞いた話だが、鳥情報を聞いたら直ぐに行かないとダメだそうだ。環境で生息域はすぐに変化するものらしい。それにしても大量のインコはどこへいってしまったのだろう。機会があればまた挑戦したい。