コラム

見出し 三振できないカメラマン
更新時間 2017/11/04 名前 よねやん
本文 ◇11月3日に航空自衛隊の入間基地航空祭があった。ブルーインパルスが編隊飛行を行う有名な航空ショーだ。天気も良く、通常は会社に置いてあるタムロンの150−600mmとニコンのD600が偶然自宅にあったので行くことにした。前日まで仕事が忙しく、休みの日に撮る気はゼロ、撮影場所も滑走路正面の良いポジションでは無く、直ぐに電車で逃げ帰られる西武池袋線・稲荷山公園駅のすぐ横だ。

◇お決まりのシーンを撮影し、それなりに撮れていたが、それだけのことで撮影という視点で語ると面白みは少ない。最近は機材も良くなり、練習機の編隊飛行を撮るくらいは職業カメラマンにとっては簡単なことなのだ。

◇撮影で難しいのは、短時間1発勝負というものだ。例えば、番宣(番組宣伝)と呼ばれる芸能人などの撮影がある。映画やドラマの宣伝で出演する芸能人が設定された日に集まり、雑誌の表紙や新聞の特集の取材を行う。出演者はその日に30社なりの取材をこなすので、1社あたり撮影と取材をあわせて10分というのもザラだ。自ずと撮影時間は1−2分ということになる。普通に撮ってしまうと他社とかぶるので一味違った写真を撮らないといけない。しかも、ピント、ブレ、露出、ホワイトバランスなど完璧で。新聞の場合は掲載面の関係で右向き左向きも撮り分けたり、場合によっては見出しが重なるスペースを空けて撮るということもある。それを短時間で確実に行うのは、航空祭を撮るよりもずっと難しいのだ。

◇最近も大物芸能人を2分で撮るという撮影で失敗しそうになったことがあった。番組収録が終わり、直ぐにスタジオに入り、30秒くらいでカメラ機材をセットし、200mmでファインダー越しに覗くと、何故か被写体が揺れている。あまりにも大物芸能人すぎて筆者が緊張しているのかと思ったが、嫌な予感がしたので即時に感度を上げ、250分の1秒にシャッター速度を上げて撮ったことがあった。後で確認すると低速で切ったのは多くがぶれていて、結果的に高速で切ったコマに救われたことがあった。なんとレンズのブレ防止機構が故障していたのだ。もし、あの時ブレに気づかなかったら紙面が制作できないという大変なことになっていた。毎日がそのような失敗が許されない撮影の繰り返しで、ひたすら1000本ノックを受けている状態なのだが、その限られた中でも進歩するためには可能な限りの準備と反省が必要だ。  「航空祭に行って、何百枚も撮って、一押しの作品を月例会に応募する」その方が絶対に撮影は楽しいと思う。一本のホームランを狙いつつ、絶対三振が許されないのがスタッフカメラマンのお仕事なのだ。


600ミリでも少し短く、800ミリにテレコンの距離だ


4000分の1秒で切ったが、流し撮りしないとぶれてしまう


これをワイドで撮ると、望遠のカットはあきらめるしかない