コラム

見出し ニコンからミラーレス機
更新時間 2018/09/13 名前 よねやん
本文 ◇ニコンからフルサイズミラーレス機(Z6,Z7)が発表された。新規格のマウントを採用したレンズは、内径55mm+フランジバック16mm、ソニーを超える高画質が期待できるスペックになっている(ソニーは内径46mm、フランジバック18mm)。後出しジャンケンの優位性を活かしたと言える。これ以上、ソニーの独走を見ていられないというのが本音だろう。

◇発売する2機種の市場価格は25万円と40万円ほどの中級機で、しっかりとした作りをしている。一般の評価はかなり良く、予約が殺到しているらしい。画質はD850に近く、しかも軽いので高齢者には受けが良いかも知れない。

◇ちょうど実機が職場に来て、何人かの報道カメラマンが試した評価だが、一般ほどは高くなかった。AFのつかみが今ひとつで、クロスセンサーを採用していないので水平のものにピントが合いにくい。少なくともスポーツではダメだ。またファインダーのチラつきや遅延が気になる。メモリスロットが1つしか無かったり、無音撮影した時に動いている被写体がクネクネ曲がってしまう「ローリング歪」が酷かったりと、突っ込みどころ満載なのだ。

◇要するに、仕事で使えないという評価だ。試しに使ってみるという声すら聞かれなかった。一般の評価が80点としたら報道カメラマンの評価は55点というところだろう。いろんな所に出ているテストレポートの評価が高いのは理解に苦しみ、「本物の撮り手が書いているのか?」と疑うほどだ。しかし、個人的にはとりあえず第一球を投げてきたことを歓迎したい。少なくとも何年かするとミラーのカメラは消え去る運命にあると思うので。

◇経験を積み重ねているソニーにニコンが最初から追いつけるはずもなく、一部のマニアからは「やっぱりソニー」という声があるのだが、あまりにも短絡的な意見だ。そんなことはニコンは分かっているし、プロの撮り手からは合格点をもらえないのも分かっている(ソニーですら合格点をもらえていない)。それでも次のフラグシップ機をにらんでブリッジマシンとして出してきていると思うのだ。出さないとユーザーからのフィードバックは得られないし、市場動向も分からない。未完成ながらも売れる実機を出してきたのは、マーケティングとしては絶妙なのかも知れない。

◇今回の発売のキーワードは「レンズマウントの規格」で、実は画質面ではニコンが圧倒的に優位に立ったという事実に注目したい。実写してみたが、周辺減光が少なく、隅々までシャープ、更にワイド側で歪曲収差が出にくいので「ニコンの目指す、高画質の世界」が理解できた。譲れない画質はしっかり押えて、あとは一生懸命ソニーに追いつく、という戦略なのだろう。普通のカメラオタクはスペック表だけ並べてソニーの優位性を語るが、潜在能力ではニコンの方が優位に思えるのだ。AFでミノルタをニコンが追いかけた時期があるが、約30年経った現在、皮肉にもミノルタを買収したソニーをまたニコンが追いかける構図になっている。ニコンはユーザーから意見をフィードバックしてコツコツ改善を重ねる会社だ。また追いつき追い越すのであろうか? 筆者も現状ではD850しか仕事では使えないようなので今回のミラーレスは買わないが、今後に注目している。  それと一応揃えてはみたものの使いものにならないオリンパスのマイクロフォーサーズ一式。「どうにかせねば」という気持ちがどんどん膨らんできた。フルサイズのZ7の画質を見てしまうとマイクロフォーサーズがかすんで見えるのだ。やはり主戦場はフルサイズに移ってくるだろう。


デモ機のZ7がやってきた。丁寧に作りこんでいるので
ニコン党ならすぐに手に馴染むと思う



16mmと短いフランジバック。間違って従来のFマウントのレンズを
装着しようとすると、一発で撮像素子が傷つく恐れがある