コラム

見出し 高さ
更新時間 2019/02/03 名前 よねやん
本文 ◇ある写真家のワークショップに参加した時のこと。その写真家は小柄で身長はおそらく160cm足らずだと思うが、体格の話が出て「目立たずに撮影できるので小柄をメリットに感じている」と言われていた。確かに人目には付かないし、威圧感も少ない。ただそれはその場の情景に溶け込む風景写真家のような話であって、一般的なカメラマンには当てはまらない。

◇少なくとも報道カメラマンは、身長は高いほうが有利だ。「ぶらさがり」と言われる、大勢のカメラマンが1人を囲んで撮影する場合は、腕を伸ばしてノーファインダーで撮ることも多いので高さが必要だ。突進して前に行って撮れば?と考える人は大きな間違い。近くで撮るのも必要だが、輪の中にいると位置の移動ができない。囲碁や将棋の感想戦の場合は、まず突進して近くで表情を押さえ、輪の外から色んなカットを撮る。どちらにしても身長があると有利だ。

◇ポートレート撮影にしても、モデルさんが165cmくらいで7cmくらいのヒールが平均的。すると合計で172cmくらいになり、155cmくらいの身長での撮影はかなり見上げる角度で撮ることになる。引きがとれず近距離から50mmくらいで撮影する場合は、ビルを下から見上げる感じになり、鼻の穴は強調され写真としては良くない。

◇明らかに身長の低いカメラマンが撮ったと思われる写真をカメラ雑誌などで見ることがある。おそらく本人は日ごろ見るアングルなので気が付かずに撮り写真選びをしているのだろうが、一貫して撮影位置が低いのだ。モデルでも洋服紹介の場合はベルトの高さの少し上あたりから撮るが、モデル中心に撮る場合は目の高さくらいから撮る場合が多い。高さで強調するものが変わるので身長が高いほうが調整範囲が広いというわけだ。

◇身長が足りない場合は脚立か踏み台の上に乗るしかない。それが祭りの会場とかでもあった方が良い。結果として小柄は「目立たずに撮れる」といった前出の写真家の話は間違っているのだ。

◇カメラの高さは重要でカメラマン同士では「どこで撮った」と合わせて「どの高さで撮った」という話になる。例えば、地面のレベルから撮る場合は、フラッグシップ機のカメラだと、大きいので10cmくらいから撮ることになり、迫力がなくなる。その場合はスマホなどで撮ることもある。人の場合も幼児の目線から子供を撮ることもあったり、高い位置はドローンで撮影する。その中間の高さだったら、1脚の倍くらいの長さの竿があり、それで撮影することもある。それくらい「高さ」は写真にとって重要なファクターでそれを考えずに自分の眼の高さから撮っている人がどれだけ多いことか。

◇料理や人物は最たるものだが、祭りなどの催し物、風景に至るまで高さを変えるとガラッと表現が変わるのだが、写真家と名乗っている人でさえ無頓着な傾向にある。もう少し「高さ」について注意すれば上達間違い無しなのに残念だ。


タカラヅカの永久輝せあさんは身長170cm、
10cmくらいのブーツを履いており
筆者の身長(174cm)では位置が低いので
15cmくらいの台に乗って撮影した。
160cmの撮り手だと30cm位の2段脚立が必要になるので大変だ