コラム

見出し 人物写真にひと手間かけよう
更新時間 2019/07/15 名前 よねやん
本文 ◇審査をしていて思うことだが、ここ10年くらい、年を追うごとに風景写真の質が上がり、人物スナップの写真の質が落ちている。近場で撮れる都市や大自然の風景などは、風景写真家のレベルとそん色ない。地の利とふんだんにある時間を生かした結果だ。特にスマホの普及で誰でも作例が見られることもレベルアップを後押ししている。

◇対する人物スナップは肖像権問題がうるさくなったこと、YPCでいうと被写体となるお孫さんが大きくなり撮れなくなったこと、などが原因でレベルは下降曲線を描いている。撮れる場所が少なくなり、それでも撮るためにはお祭りやイベントを狙うしかない。また肖像権をクリアするために、後ろ姿、横顔などでうまく逃げているベテランもいるが、気が付くと同じような作風ばかりになってしまい、いまひとつ面白味に欠けるのだ。セルフポートレートなど面白いと思うが、恥ずかしいのか審査で1枚も見たことがない。手の一部でも人物スナップなので、結構自由度はあると思うのだが。

◇筆者は、取材で人物を撮ることが殆どで、8割くらいは人物写真だ。それは紙面やネットだけで発表するという了解の下、撮影しているもので、それを他のものに転用することはできない。なので例えばコンクールで人物スナップの写真を提出してくださいと言われたら筆者でも困ってしまう。

◇どうしても人物スナップを取りたい時、一番手っ取り早いのがSNSでモデルを募集することだ。例えば、「渋谷で女性の写真モデルを募集しています。1時間で3000円お支払いします」などと書き込めば、フォロワーの多い人なら割と直ぐに見つかる。渋谷の109に行けば無料で使える撮影スポットがあるので、面白い作品を撮り放題だ。1時間もあれば10回分のコンクール作品が撮れる。

◇子供のモデルもSNSで同様に集めることができる。例えば「写真を勉強しています。練習のため、お子さんを撮らせていただければ、撮影データをお渡しします。ただし、何枚かはコンクールに応募させてください」と書いておけばOKだ。

◇筆者の場合は、着物姿や子供の写真を街角で身分を明かして撮ることがある。いつ掲載するか分からないが、ストックとして撮ることがあるのだ。その場合は、ストックとは別のデータをコピーしてモデルに進呈する。それで撮影を拒否されることは殆ど無いし、一応プロに撮ってもらったということで、喜んでもらえることが多い。先日も「今日は大サービスで、先日撮ったAKBと同じライティングで撮りましょう」といったら大盛り上がりで撮らせてくれたことがあった。

◇そういうひと手間かければ、いくらでも人物を撮る機会はあるのに、誰もが考える簡単な手段で人物スナップを撮るので、審査会場に並ぶ作品が同じ作風になるのだと思う。

◇肖像権をうるさく言う人が増えた反面、ネット上で知らぬ間に画像が拡散することも増えて、肖像権をあきらめている人も増えている。誰も撮らないような人物スナップは風景写真と異なり沢山あるはずだ。安易な方向になびいて、撮るよりは、ひと手間かけて面白い人物の写真を撮って欲しい。


進呈用SDカード、
1枚150円ほどで大量買いした、常に数枚持ち歩く



プロ用撮影機材の「銀一」、月島の倉庫みたいなところにある