コラム

見出し 画像処理でうまくなる
更新時間 2019/11/17 名前 よねやん
本文 ◇よく、写真歴50年以上で、画像処理も得意だという人の話をよく聞く。そういう人に限って、コンクールなどでデータを提出して下さいというと、彩度はガチガチ、シャープネスはパキパキ、データ形式は16ビットのTIFF、色空間はAdobeRGBという訳の分からないデータを自慢げに送ってくる。筆者から見ると、「我流はダメ、お金をかけて勉強してください」と言いたくなる。

◇人によっては「この画像は完璧なので、このまま新聞掲載を希望します」とまで言ってくる場合もある。そもそもWeb上に表示するか、新聞に掲載するのか、写真展用に銀塩プリントするか、どれくらいのサイズで表示するかなど条件により、彩度や明るさを調整するので何にでも通用する画像処理というのは無い。例えば写真展用でも富士フイルムフォトサロン用とポートレートギャラリー用では補正を変えている。照明の明るさや色温度が違うからだ。

◇人肌ひとつにしても、日本人には美白の明るい肌色が好まれるが、白人は褐色の入った少し日に焼けたような健康的な肌が好まれる傾向にあるので、クライアントを意識して補正する必要がある。

◇画像補正がうまくなると撮影が絶対うまくなる。それは補正を知れば知るほど、画像補正が不要の撮影を心がけるからだ。業界では「レンズ前」というが、ベストはレンズの前の被写体が完璧な光線具合、構図であること。それを完璧な露出とホワイトバランスで撮るだけで、その後の画像補正がほとんど必要なくなる。例えば光線が悪いと部分的に明るくする必要が出てくる。「レンズ前」が完璧なら必要が無いはずだ。

◇デジカメは露出オーバーに弱いので、アンダーぎみに撮る人は多いが、それでは必ず後で明るくする補正が必要になる。筆者のように毎日50枚程度を画像入力する場合、全部を明るさ調整していては大変だ。少なくとも露出、ホワイトバランスは現場できっちり合わせて、後の画像処理は媒体に合わせた微調整に留めることが大事だ。現場で撮影するというよりは、カメラというスキャナのパラメータを微調整しながらスキャンするという感覚だ。昔の銀塩時代のカメラマンは撮ったフィルムを渡して仕事が終わりという人が多かった。今のカメラマンは最終の媒体まで考慮しながら撮影し、画像処理を行ってから納品するので大変なのだ。

◇最後に、画像処理が上達する方法をお教えしよう。とにかく沢山の画像を補正してみること。1日20−30枚ほど画像処理すれば1年くらいでかなり上達するはずだ。ただし補正する画像は自分で撮ったものではだめだ。自分の撮影画像では撮り方や色合いなどが似通っていて、練習にならない。できればいろんな人が撮った生のデータを補正してみるのが良い。また補正するうちに、他のカメラマンの技量も見えてきて、とても勉強になる。よく自称ベテランはベストの1枚を完璧に仕上げて自慢げに見せることがあるが、本当にうまい人は、「撮って出し」のデータがすでに完璧なことが多い。


スタジオの天井に巨大な紗幕を張り、ストロボを4灯。スタジオでは「D枠+紗幕」という。


天井から柔らかい光、下手正面からジャンボアンブレラ、
完璧に「レンズ前」ができているので、あとは完璧に撮れば画像補正は
ほとんど必要ない