コラム

見出し 撮影以上に大事なこと
更新時間 2020/02/15 名前 よねやん
本文 ◇街でストリートスナップを撮って、ブックや写真展で発表するのは比較的誰にでもできて楽しい。仕事の写真だとそのような楽しさは無く、できて当たり前、失敗したら怒られるという作業の連続だ。

◇先日「世界らん展」の撮影に行った。おもに作品を撮るのだが、何が大事か分かるだろうか? おそらく一般の写真愛好家が想像するのは「綺麗に蘭を撮る」ということだろう。それは大間違い、重要度から言うと低い。

◇50作品くらいの蘭が2時間ほどで次々と撮影台に運び込まれるが、その作品名と写真を確実に紐づけして、間違わないように出稿しなければならない。間違った写真が印刷されれば、すべてが終わりになる。そのために作品の札と蘭を撮り、札を外して作品だけ撮り、撮影済みのエントリー番号をパソコンに打ち込むなど、間違わないための手順を確実に踏まなくてはならない。1作品あたり2−3分しか無いので、かなり慌ただしい作業になる。

◇さらに、作品を運び込む作業員がアナログな方ばかりなので、作品の持ち込みを間違ったりする。エントリー番号を手際よくチェックし、抜けている作品を割り出し作業員に伝えたりするのも必須だ。この「作品名を間違わず、抜けなく撮る」というのが1番手になる。

◇2番手は何だと思うだろうか?答えは「作品を傷つけない」ということだ。最高の賞「日本大賞」に決まった蘭を撮る際に、間違ってライトスタンドが倒れ、花がポロっと取れてしまったら大事件になる。また日本種の蘭などで何百万円もするような高価なものもある。よって撮影台へのセットは係員に任せカメラマンが触ることは無い。ライティングも通常は蘭の真上からメイン光を打つのが綺麗なのだが、機材の落下の可能性があるので、安全重視のセッティングになる。ライトスタンドは倒れても蘭に届かない距離に置き、おもりで足を固定する。最高のライティングが100点としたら、安全面を考えて70点くらいで甘んじるのがミソだ。

◇ここまで段取りができてやっと「綺麗に蘭を撮る」という作業に入るのだ。この一連の作業は、イベントものの撮影では大体同じだ。例えば今年に入り、箱根駅伝や大相撲の撮影があったが、蘭が人物に代わるだけで、毎回写真と説明文が間違わないように苦戦している。よく「相撲で良い写真を撮っていましたね」などと言われるが、一連の作業の後に押した一コマが良かっただけで、撮り手としては「時間内に間違わず合格点の写真が入稿できた」と胸を撫でおろすだけの毎日なのだ。


らん展の撮影現場、奥はカタログ作成用の業者の撮影台


中古カメラの専門店「ミヤマ商会」が2月20日に閉店する。=写真は新宿店=
メルカリ、ヤフオクに押されてお店で中古カメラは売れないということなのだろうか?