本文 |
◇美術展で販売している「図録」に掲載する写真撮影をした。年末に日本の美を紹介する日本博の一環で「日本のたてもの」と称して上野の東京国立博物館で日本の建築物が展示される。そこで展示する木造建築物の模型の撮影だ。模型といっても10分の1程度のサイズで、大きなものだと幅が5メートルほどになる。
◇5メートルの物撮り撮影には大光量のストロボが必要だ。いつも使うクリップオンストロボではせいぜい1メートルくらいの被写体しか撮れない。
◇今回の撮影では合計1000Wsほどの光量を準備した。クリップオンストロボで換算すると20台分くらいになる。それでもISO400でF11とギリギリの露出だ。
「もっと感度上げるか、絞りを開けたら」
と思うかも知れないが、すべての模型にピントを合わせ、ノイズを考えるとこれが最低ライン。
◇更に模型の部屋の中を照らしたり、暗い壁を照らしたり、背景を明るくしたりすると、持って行った8台のストロボでも足りないくらいで、細かいさじ加減が大変だった。
◇図録の撮影は初めてだったが、専門的なノウハウがてんこ盛りで、普通のカメラマンが気易く受けられる仕事ではない。というか助手で経験を積んで受けるレベルの仕事だ。
◇図録撮影にプラスして、特集紙面用、ネット展開用、ポスターチラシ用、会場入り口の巨大印刷物用、資料写真用のカットも手際よく撮ることができた。あとで聞いた話だが、図録以外の写真は別のカメラマンに依頼することがほとんどで、1度ですべて撮り切るカメラマンは珍しいという話だ。報道カメラマンの世界では当たり前のことが、世間では専門性が高い分野なので一度で済まないらしい。
◇以前に茶室を撮った時の気づきだが、日本家屋は窓から光を入れると、内部が美しく撮れる。これは今回の建築模型にも当てはまる。まだお見せできないが、実物と区別がつかないほどのクオリティだ、開催が待ち遠しくなってきた。
◇今回の目玉はフジフイルムの1憶画素機GFX100を用いた撮影だ。100万円を超える個人ではなかなか手が出ないカメラだが、本当に仕上がり画像がち密だ。これくらい繊細だと大型ポスターはもちろん、展覧会の大看板でも問題ない。
ただし武骨で大きいので本当に「仕事してます」というアピールが強く、
気楽に街に持ち出せるカメラではない。風景写真家やコマーシャルの世界でしか使われないようなカメラだ。
そういうカメラで撮れば差別化でき、お金も取れるというものなのだろう。
 最近スタジオライティングのシミュレーションソフト (s e t . a . l i g h t 3 D)をよく使う
 建物模型と同じで実物と区別がつかないほどだ
|