コラム

見出し スマイル
更新時間 2021/03/28 名前 よねやん
本文 ◇仕事で人物写真を撮る場合は、紙面上の位置、大きさ、原稿の内容など想定される条件を確認してから撮影が始まる。小さい掲載であれば、顔をアップぎみにしないと表情が分からないし、逆に大きい掲載であれば、人物が点景でも雰囲気がでる場合がある。

◇明るい原稿は、ほえんだカットが良いし、逆にシリアスな原稿だと、真剣なまなざしを撮ったりする。

◇モデルで女優などは、たとえば「今日は、ほほえんだアンニュイな(神秘的な)感じで」と言えば、イメージ通りのポーズをしてくれる。こちらの要求する姿を自在に見せてくれるのがプロのモデルというものだ

◇普通の芸能人でも、要求通りのポーズを受けてくれるなら問題ないが、事務所のブランディング戦略で笑ったり、活発なポーズはダメと言われることがある。最初にマネージャーに聞いて、事務所の意向をくむのが重要だ

◇またスマイルがOKの芸能人でも、笑顔があまり絵にならない場合なんかもあり、その場合は一応撮るが、現場判断でスマイルなしの写真に注力する

◇明日もポスターなどでよく拝見する大女優の撮影があり、メイクやスタイリスト、関係者で緊張の中撮影するが、立ってもらって撮るだけでオーラがものすごいので、写真が成立すると思う。「スマイル」多分いらない。むしろ大御所の方が楽で、無名の役者などの撮影の方が絵になりにくいと言える

 「スマイルください」とよく言うが、学者など普通の人は、「作りえがお」のできない人もいる。そういう場合は、最近撮った芸能人の話とか、好きな映画の話とか、世間話をして会話中の笑顔を撮るようにしているが、カメラを構えた瞬間に凍り付く人が少なからずいる

◇写真家は、そういう人でも時間をかけてスマイルを引き出す。最初はカメラも持たずにあいさつをして、30分くらいおしゃべりをして打ち解けあったあとに、さりげなくカメラを持ちだす。確かに最高のスマイルが撮れるかも知れない

◇とても重要なことに思えるが、報道はそんな時間軸だと仕事が終わらない。約束の5分前に到着して、機材をセットして、30枚くらい撮って、機材の撤収を素早くする。大体その場を25分位で離れることが多い

◇その制限の中でスマイルあり、なし。右向き左向きなどを確実に撮り分けないと、後の紙面制作で自由度がなくなる。「スマイル」もポーズのひとつなのだが、それができない人がいて、その対応に苦慮しているというのは「笑えない話」だ
神田明神は桜が満開だった。