コラム

見出し 十一面観音を撮りました
更新時間 2021/06/26 名前 よねやん
本文 宣伝になるが、

特別展「国宝 聖林寺十一面観音 −三輪山信仰のみほとけ」

という国宝・観音像の特別展示が上野・東京国立博物館で6月22日より開催され、展示前に紙面やホームページで紹介する写真撮影を担当することになった

◇この像が奈良県から出るのは初めてのこと。保有する聖林寺の改装を機に東京での展示が実現したそうだ。要するに家をリフォームする間に美術館めぐりするのだ

◇こういった流れは美術界ではよくあること、「どこどこのお寺が老朽化して困っている」などと聞きつけ、展示計画を提案するコーディネーターがいる。貸出費を改装費に充て、展示の宣伝効果で改装後も参拝が見込めるので、関係者はみんなハッピーになれる

◇プロポーションが美しい観音像だが、撮影に関しては非常に神経をつかった。一番大事なことは安全の担保だ。ストロボのスタンドを倒してしまって、像を傷つけでもしたら試合終了。倒れない距離でストロボを立てる必要がある。

◇しかも美術品はピントを深く撮る必要があるので、絞りはF16とかF22とかを確保したい。メイン光は合計で1200Ws、みんなが使うクリップオンストロボで20台ほどの光量だ

◇美術品を専門にするカメラマンはとてもギャラが高い話を聞くが、機材量が膨大になること、高い撮影技術を要することなどを考えると、そのギャラも納得だ。一般のカメラマンがにわか知識で撮れるものではない。写真業界の中でも専門性の強い分野なので、誰かの助手を数年して、次に独立するというのが普通なのだろう

◇ただ、展覧会というのは大きなお金が動く。美術品は梱包するだけで数百万円、輸送に何千万円とコストがかかるため、撮影のギャラが高くても全体から見ると微々たるものだ。撮影料は高くても安心して依頼できるカメラマンというのが運営者の本音だろう

◇撮影では役割分担があり、像の移動は約10名の特殊技能を身に着けた輸送業者が行い、我々が触れることはない。カメラマンの指示に従って、回転させる。背面からじっくり撮れる最後の機会かも知れないので、「記録写真」として正確に写しだす

◇それにしても難しい。カメラの位置にしても、本番は85mmくらいの画角で撮ったが、後で見直すと、「人が床に立って眺める画角(50mmくらい?)」が良かったかも知れない。観音像は参拝者の眺める画角が一番きれいという話もある

◇そうやって「ヘトヘト」になりながら収めた画像は後日、読売新聞のHPで公開される。フジフイルムの1億画素機で撮影し、画面上を拡大表示すると超高精細で観音像が見られるので公開が楽しみだ